- 書名:文章と文体(日本語ライブラリー)
- 著者名:沖森卓也/編著 山本真吾/編著 揚妻祐樹/[ほか]著
- 出版者:朝倉書店
本書『文章と文体』は、長年文章を書いているライターが、さらに上手く文章を書くために役立つ一冊です。
敵を知り己を知れば百戦危うからず。
自分の書いている文章がどのようなものなのか?
客観的に分析する手助けになりますよ。
武道も文章も、「型」を崩して新たな「型」を作るのは難しい。
文章を上手く書くにはどうすれば良いでしょうか?
素人なら、上手い人の書き方を真似て、何度も書くのが良いでしょう。
でも、プロのライター、長く文章を書いている方だと、そう簡単にはいきません。
自分流の書き方があり、武道の「型」のように完成しています。
その完成した「型」を崩し、さらに上手く書けるようになるべく改善するのは、相当難しいことです。
他の方の書き方を真似るにしても、どこまでを維持して、どこを崩すべきかの見極めは、容易にできることではありません。
文章を客観的に把握できれば、「型崩し」も容易になる。
そこで、本書『文章と文体』の出番です。
本書の特徴は、以下になります。
- 日本語の言葉、文章を冷静に客観的に観察し、カテゴライズしている。
- その文章が、どのような構造を持ち、どのような規則・役割をしているのかが、論理的にわかる。
- 具体例として出される文章は、明治時代から現代までと幅広く、日本語の普遍性、特性のありようが比較できる。
本書に当てはめれば、今自分が書いている文章がどのようなものなのか、現状を把握することができます。
現状を把握できれば、どこまでを維持し、どこを崩して変えれば良いかの判断がしやすくなります。
文章を毎日書いているような方には、「なるほど、こういう文章を書いていたのか!」とスッキリすることもあるでしょう。
大学教授など、名だたる研究者が執筆している。
『文章と文体』は、その道のプロである大学教授など研究者が各章ごとに執筆しており、信頼性は抜群です。
章によっては明治時代の文章を具体例として引用し、解説しています。
日本語の動き、言葉の過去と現代の比較ができるので、ぶれない日本語、文章の「型」を理解できます。
- 第1章 文章とは
…立教大学文学部教授 沖森卓也 - 第2章 文章の構成
…広島女学院大学国際教養学部教授 渡邊ゆかり - 第3章 文法と文章
…藤女子大学文学部教授 揚妻祐樹 - 第4章 文字・語彙と文章
…慶応義塾大学日本語・日本文化教育センター教授 木村義之 - 第5章 文章の種類(1)描写する文・訴える文
…日本経済新聞社人材教育事務局 小林肇 - 第6章 文章の種類(2)文芸的な文
…白百合女子大学文学部教授 小林明子 - 第7章 文体
…白百合女子大学文学部教授 山本真吾 - 第8章 修辞法
…成蹊大学文学部教授 森雄一
『文章と文体』は玄人、プロ向けの1冊です。
以下のような、既に文章を書いている玄人・プロの方におすすめす。
- 教授、もしくは教授を目指している
- 新聞記者
- Webライター
- 小説家
- 学生で論文を書き直そうとしているか、2回目の論文作成をする
以下のような目的を持つ方にも、おすすめです。
- より綺麗な、達意のある文章を書きたい。
- 今一度、文章の構成や言葉の適切さを見直したい。
- 文章作成の指導をするにあたり、日本語の文章として何がどういけないかを論理的に説明したい。
まとめ:文章を今一度見直したい方におすすめ
大学の先生が書いている本だけに、学術的な要素が多分にあります。
「そりゃそうだ、そんなことは知ってるよ」「だから何なの?」という感想になるかもしれません。
具体的な技法についてはあまり言及していないので、役立てるのが難しいのは確かです。
けれど、玄人なら「勿論知っているけど、こういう違いがあるのか!」と、微妙な用法の違いがわかり、日本語、文章の細やかな動きが理解できるのではないでしょうか?
さらっとではなく、何度も、じっくり読み込むと良いでしょう。
その点、お気を付けください。
以上、
玄人ライターがさらに文章を上手くなるための、現状把握に役立つ!『文章と文体』
でした。
ぜひ、手に取ってみてください(^^♪
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